太もも(ハムストリング)の肉離れ
肉離れとは?〜なぜ太ももの裏に起こるのか〜|石山東洋鍼灸整骨院
「肉離れ」とは、筋肉の一部の繊維が急な負荷や伸ばされる動きによって損傷してしまう状態のことをいいます。特にスポーツ中、ダッシュやジャンプの瞬間、急にスピードを変える動作などで起こりやすいのが特徴です。
太ももの裏側には「ハムストリングス」と呼ばれる大きな筋肉群があります。これは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3つの筋肉から成り、膝を曲げたり、股関節を伸ばす動きで使われます。日常生活の中でも、歩く・走る・階段を上るといった動作で常に働いている筋肉です。

このハムストリングスは、特にサッカーや陸上の短距離走など「瞬発的な動き」が多いスポーツで負担がかかりやすく、肉離れが起こる部位として非常に多い場所です。疲労の蓄積や、柔軟性の低下、筋力のアンバランス(前ももの筋肉とのバランスの崩れ)なども発症の大きな要因になります。

また、寒い季節や準備運動不足の状態では筋肉が硬くなっているため、より損傷しやすくなる傾向があります。
肉離れの症状と重症度の違い|石山東洋鍼灸整骨院
肉離れの主な症状は「突然の痛み」と「動かすと強く痛む」ことです。
運動中に「ブチッ」「ピキッ」といった音や感覚を伴うこともあり、その場で動けなくなるケースもあります。

損傷の程度によって、次のように分類されます。
・軽度(Ⅰ度):筋繊維がごく一部損傷している状態。歩行は可能で、少し突っ張るような違和感や軽い痛みが出ます。
・中等度(Ⅱ度):筋繊維の部分断裂。強い痛みがあり、歩くと痛みが増します。腫れや内出血が出ることもあります。
・重度(Ⅲ度):筋肉が完全に断裂した状態。激痛で自力歩行が困難になり、見た目にも陥没が確認されることがあります。
受傷直後は、筋肉の損傷による炎症反応で熱感や腫れが出やすくなります。痛みのピークは2〜3日で、その後徐々に落ち着いていきますが、自己判断で無理に動かすと治りが遅くなり、再発もしやすくなります。
また、治りかけの時期にストレッチや運動を再開しすぎると、同じ場所を再び痛めるケースが多いため注意が必要です。
治療の流れとリハビリのポイント|石山東洋鍼灸整骨院
受傷直後は「RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)」が基本です。無理にストレッチしたりマッサージしたりせず、まずは炎症を落ち着かせることが大切です。

2〜3日後、痛みや腫れが少し落ち着いたら、血流を促すケアへと移行します。温熱療法や軽いマッサージ、ストレッチを少しずつ取り入れながら、筋肉の回復を助けていきます。
リハビリ期では、「柔軟性の回復」と「筋力のバランス調整」が重要です。特にハムストリングスと太ももの前側(大腿四頭筋)との筋力差が大きいと、再発しやすくなります。スクワットやブリッジなどの体幹を意識したトレーニングを組み合わせて、全身の連動性を取り戻すことがポイントです。
治療期間は、軽度で1〜2週間、中等度で3〜6週間、重度になると2か月以上かかることもあります。焦らず段階的に回復を目指すことが大切です。特にスポーツ復帰を目指す場合は、「痛みがない=治った」ではなく、「再発しにくい筋肉バランス」が整ってからが本当の回復です。
鍼灸治療による回復促進と再発予防|石山東洋鍼灸整骨院
鍼灸治療は、肉離れ後の回復を早め、再発を防ぐうえでとても有効です。
鍼には、損傷部位周辺の血流を改善し、筋肉の緊張を緩める効果があります。受傷初期には炎症を抑えるツボ(例:曲泉・承扶・委中など)を用いて痛みを和らげ、回復期には滞っている血流やリンパの流れを整え、筋肉の修復を助けます。

また、肉離れを起こした部分だけでなく、その周囲の筋肉や関節の動きを整えることで、再発を予防することができます。たとえば、骨盤や腰の動きが硬いと太ももへの負担が増えるため、鍼灸では体全体のバランスを整える治療も行います。
さらに、東洋医学的な視点では、筋肉のトラブルは「血の滞り(瘀血)」や「冷え」によって悪化すると考えます。冷え性や疲労の蓄積がある方は、全身の気血の流れを改善する鍼灸を併用することで、自然治癒力が高まり、筋肉が回復しやすい体へと導かれます。
再発防止には、施術後のストレッチ指導やセルフケアも大切です。日頃から太もも裏の柔軟性を保ち、ウォーミングアップ・クールダウンをしっかり行うことで、再発のリスクを大きく減らせます。
















